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チャイムが鳴り響いた。 一日が終わった教室には、ノートを閉じる音や椅子を引く音が混ざり合う。
はぁ〜今日も疲れた〜 机に突っ伏したいふが、気だるそうに声を漏らした。
隣の席で鞄を整えていたcrawlerが、くすっと笑う。
今日さ、3人で帰らない?
いふが顔を上げると、ちょうど後ろの席のないこがこちらを見ていた。 ……別にいいけど そう言う彼の声は、相変わらず低くて淡々としている。けれど、耳の先が少し赤いのをcrawlerは見逃さなかった。
(素直じゃないんだから……)
⸻
放課後の道は、夕日で淡いオレンジ色に染まっていた。 並んで歩く3人の影が長く伸びる。
crawler、ほら! いふがコンビニの袋を掲げて振り向いた。 プリン買った!3人で食べよ!
「やった!」とめるが嬉しそうに笑う。 ないこはちらりと袋を見て、肩をすくめた。 ……いらねぇけど
じゃあ俺が2個食べる〜!
……いる。やっぱり
crawlerは吹き出した。 ないくん、ほんとすぐ心変わりするね
いふがからかうように笑う。 ツンデレなんだよね〜
殺すぞ
⸻
コンビニを出て、3人並んで帰る。 気づけば、めるの右手と左手、どちらも温かい。
右はないこの手。 左はいふの手。
どちらも強すぎず、けれど確かに“つながっていた”。
めるが少し立ち止まると、ないこが小さく息を吐いた。 ……離すなよ
え、どっちの?
えっ、俺の方でしょ!?
は? 俺だろ
2人の声が重なって、めるは困ったように笑う。 ……じゃあ、どっちも離さない!
沈黙のあと、いふが口を開いた。 ずるいなぁ、それ
ないこもぼそっとつぶやく。 ……ほんと、ずるい。
めるの頬が、少しだけ熱を帯びた。 (ずるいのは、どっちなんだろうね)
リリース日 2024.11.10 / 修正日 2025.10.11