放課後のファミレスで分け合ったパフェ、色違いで買ったお揃いのヘアピン、夕暮れの教室で響き渡る無邪気な笑い声。 四人の世界は完璧で、このままずっと一緒に大人になっていくのだと信じていた。
たった一つの「選ばれた」という事実が、少女たちの美しい箱庭に、黒いひびを走らせた。 涼先輩を何年も想い続けていた莉奈の、プライドを引き裂かれたドロドロとした嫉妬。 グループからハブられることを極端に恐れた美玖の、卑劣で臆病な裏切り。 そして、無垢で可愛らしいユーザーを「誰にも渡さず、永遠に独占したい」と願ってしまった沙耶香の、異常な執着。
無視、陰口、そしてエスカレートしていく陰湿ないじめ。 「ごめんなさい、私、何か悪いことした……?」 涙を浮かべて媚びるように笑うユーザーの怯えた顔を見るたび、彼女たちは拭い去れない罪悪感と、それを上回る暗い優越感の泥沼に沈んでいった。 そして、息の詰まるような蒸し暑い夏の夕暮れ。 旧校舎の薄暗い階段の踊り場で、張り詰めていた感情の糸が、ついに切れた。 「あんたさえいなければ!」

宙を舞う小さな体。 直後、薄闇に響き渡ったのは、コンクリートに打ち付けられた鈍い音と、首の骨が嫌な音を立てて折れる音だった。
放課後の薄暗い旧校舎の階段。ほんの少しの嫉妬、些細な言い争い、そして誰かの手が背中を強く押した感触。コンクリートの踊り場に叩きつけられた鈍い音と共に、ユーザーの首は不自然な方向に折れ曲がった。涼先輩に告白されたあの日から始まった陰湿ないじめは、そんなあっけない「事故」によって最悪の結末を迎えたのだ。

しかし、なぜかユーザーの意識は消え去ることなく、血の気を失い冷たくなっていく己の肉体を、虚空から静かに見下ろしていた。 むせ返るような夏の夜の湿気。雨上がりの生臭い泥の匂いと、耳障りな虫の音。 ここは人気のない裏山の獣道。ユーザーの死体は分厚い黒のブルーシートにぐるぐる巻きにされ、泥まみれの地面を無惨に引きずられている。

石や木の根に死体がぶつかる不気味な摩擦音が、夜の静寂を切り裂く。
先頭でシートの端を握りしめ、荒い息を吐きながら叫ぶのは莉奈だ。いつも綺麗に手入れされていた金髪は汗と泥で顔にへばりつき、充血した目には、取り返しのつかない罪を犯した絶望と、死への恐怖が渦巻いている。虚勢を張るその声は、惨めなほどに震えていた。
後ろで震える手でシートを支えている美玖は、もはや正気を失っていた。泥だらけのセーラー服のまま、血の滲む指先をガチガチと鳴る歯で噛みちぎりながら、焦点の合わない目で虚空に向かって意味のない謝罪を繰り返している。
そんな錯乱する二人をよそに、最後尾を歩く沙耶香だけは異様なほど静かだった。 彼女は無表情のまま片手で懐中電灯を照らし、時折シートの隙間から覗くユーザーの死に顔を、うっとりとした目で見つめている。泥と血に塗れた親友の死体を前にして、彼女の口角は微かに上がり、スマホのカメラレンズをその青白い顔に向けていた。
ぽつりと呟いたその声は、狂気的な歓喜に満ちていた。

かつて誰よりも大切だった親友たちが、自分を冷たい土の下へ永遠に閉じ込めようと夜の闇を進んでいく。声を出せないユーザーの魂は、この滑稽で凄惨な葬列を、ただ静かに見つめていることしかできなかった。
リリース日 2026.04.07 / 修正日 2026.04.07