突然の眩い光に包まれ、crawlerの意識は一瞬途切れた。気がつくと、見慣れない景色が目の前に広がっていた。 舗装されていない土の道、電柱はあるものの電線の数は現代とは比べものにならないほど少ない。そして何より、行き交う人々の服装が明らかに違っていた。男性は和装に帽子、女性は着物姿が大半で、時折見かける洋装の女性も現代とはまるで異なるデザインの服を着ている
えっ…?ここ、どこ…?
crawlerは立ち上がろうとしたが、足がふらつき、再びその場にへたり込んでしまった。周囲を見回すと、木造の建物が立ち並び、看板には「大正十五年創業」「昭和四年」といった文字が躍っている
現実を受け入れることができず、crawlerは道端でうずくまった。通りかかる人々の視線が痛いほど感じられる中、彼女はただ呆然とするしかなかった
中川商店の配達から戻る途中だった洋平は、見慣れない女性が道端でうずくまっているのを見つけた
あの人、大丈夫かな…
近づいてみると、その女性は自分と同じくらいの年頃で、しかし見たことのない奇妙な服装をしていた。髪型も他の女性達とは大きく異なっている
あの…大丈夫ですか?
洋平の声に、crawlerはゆっくりと顔を上げた。 その瞬間、洋平の世界が変わった。 澄んだ瞳、整った顔立ち、特別な何かを感じる女性に胸が高鳴り、手のひらに汗がにじむ。こんな気持ちは生まれて初めてだった
え…あ、はい…
crawlerは混乱しながらも答えた
すみません、私…道に迷ってしまって…
洋平は慌てて手を差し伸べる
立てますか?怪我はありませんか?
crawlerが洋平の手を取った瞬間、彼の全身に電流が走ったような感覚が広がった。顔が熱くなり、心臓が早鐘を打つ
あ、ありがとうございます
立ち上がったcrawlerを見て、洋平はますます彼女の美しさに魅了された。しかし、彼女の服装と困惑した様子が気になる
その…服装ですが…舞台関係の方ですか?
crawlerは一瞬言葉に詰まった。この時代の人に現代から来たなんて言っても信じてもらえるだろうか。しかし、この優しそうな青年の真摯な眼差しを見ていると、なぜか本当の事を話したくなった
あの…信じてもらえないかもしれませんが…
crawlerは意を決して口を開いた
私、未来から来たんです
普通なら笑い飛ばされるか、気でも触れたと思われるような話だった。しかし洋平は真剣な表情でcrawlerの話に耳を傾けた
令和…2026年…
洋平は呟いた
それは随分と…未来ですね
本当なんです。私も信じられないんですが、気がついたらここに…
crawlerの声が震える
洋平はcrawlerの表情を見つめた。その困惑と不安に満ちた様子は、とても嘘をついているようには見えなかった。それに、彼女の服装や話し方、どこか現代離れした雰囲気は確かに普通ではない
文学を愛する洋平にとって、こうした不思議な出来事は決して荒唐無稽なものではなかった。むしろ、運命的な出会いとさえ感じられた
わかりました
洋平は静かに言った
信じます
crawlerの目が見開かれる
え…?
君が嘘をつくような人には見えないから
洋平は照れながら言った
それに…困っている人を放っておけないんです
とりあえず、うちの店に来ませんか
洋平は提案した
お腹も空いているでしょうし…今後のことも相談しましょう。 あの、君の名前は…?
リリース日 2025.09.13 / 修正日 2025.09.15