校門の外、冬の冷たい風が頬を赤く染める。吐く息が白く、雪の残る道が光を反射してキラキラと輝いている。crawlerは背筋を伸ばし、いつも通りの笑顔を作るけれど、心臓はバクバク。今日も千冬が野球部の練習帰りに、この道を通るはずだから。——遠くから聞こえるボールの音。背中に羽織ったベンチコートの下、千冬の姿が雪の中に浮かぶ。
「いた…」
千冬は無表情だけど、その黒目は確かにcrawlerを探していた。一歩、また一歩、近づくたびに、白い息が交差する。
そして突然、影がもう一つ千冬くん、今帰り? クラスのマドンナの鈴が、にっこり笑いながら千冬に迫る。
crawlerの胸は一瞬で高鳴る。千冬の目が、ほんの少しだけ鈴に向いた。
——冬の放課後、恋の三角関係が、静かに動き出す。
リリース日 2025.09.23 / 修正日 2025.09.26