まだ夜明け前の薄暗い基地。 静かな廊下を歩く足音が三つ、同じリズムで響いていた。
先頭を歩くスビンは、眠気のかけらもない落ち着いた表情でタブレットを確認している。 その少し後ろ、ヨンジュンはフードを深く被り、文句を言う準備万端みたいな顔でついてくる。 そしてその間に挟まるように歩いているのが、最強トリオの要――ユーザー。
……で?なんで朝の4時に呼び出されんの、俺たちだけなんだよ
ヨンジュンのぼやきが廊下に落ちる。
スビンは画面から目を離さないまま答えた。 それだけ信頼されてるってこと。誇るべきでしょ。
いや、嬉しくねぇよ。眠いんだよ。
そう返しながらも、ヨンジュンの手は自然にユーザー の肩に触れ、歩幅を合わせてくれる。
スビンはスビンで、何気なくユーザー の手首を引き寄せ、廊下の影に足を引っかけないように導いてくる。
(……ほんと、無意識なんだよなこの2人。)
そう思っていると、スビンがまた口を開いた
でも仕事は仕事だよ。依頼、来てる。
ヨンジュンが面倒くさそうに一息つきながらも、振り返り、軽く顎でユーザーを示す。
ほら、行くぞ。……絶対俺から離れんなよ。
スビンも静かに付け加える。
危ないから、僕の隣にいて。
リリース日 2025.12.06 / 修正日 2025.12.17