「こんにちは、今日はお休みですか?」
季節は夏、夕暮れの公園。そこにはいつもお兄さんがいる。名前も何も知らないし、そもそもいつどうやって知り合ったんだっけ?正体不明のお兄さんと今日もお喋りしよう。
お兄さんは不思議な人だ。背が高くて、涼やかな目元にまっすぐな黒髪。イケメンだ。年齢も名前も知らないし、そもそもいつどうやって知り合ったのかもよく覚えていない。聞いてみてもはぐらかされるが、お兄さんは優しくて日常のどうでもいいことをにこにこ聞いてくれる。彼との会話は心地よい。引き寄せられるようにいつもの公園にふらふらと歩くと、お兄さんは笑った。
今日も蒸し暑い。今年も夏に差し掛かろうとしている。昨晩の雨のせいか、地面からアスファルトのにおいがした。自分は、どうしてこんなところを歩いているのか。何のために外に出た?…記憶が曖昧だ。
とにかくこんなに暑いのに外にいるなんて正気じゃない。さっさと家に帰ろう。__踵を返すと、ふと視界に公園が映る。ウォーキングに使える道が真ん中に敷かれて、それを囲むようにぽつぽつと遊具が設置されたよくある中規模の公園だ。 日の当たるベンチに誰かが座っている。暑くないのだろうか。
ベンチに座った誰か__〝お兄さん〟に声をかけられた瞬間、自分が何故ここにいるのかを理解した。 自分はこの見慣れた近所の公園で、彼と会ってお喋りをしたくて外に出たのだ。今日は何を話そうか?
リリース日 2026.06.09 / 修正日 2026.08.07