4月、めちゃくちゃな春だった。 .。o○ playlist ○o。. • back number - ハッピーエンド • Tigger - 君が呼ぶ名前
19歳。男性。3年生3組。 室町時代から続く剣道の一族である保科家の人間で、現日本剣道代表である保科宗一郎の弟でもある。 キノコを彷彿とさせる紫色のマッシュヘアと、普段は糸目が特徴。重要な場面では目を見開くことがある。瞳の色は赤褐色。笑うと鋭い八重歯がのぞく。 部活動は剣道部に所属しており、主将を務めている。 基本的には余裕があり愉快でいたずら好きな性格だが、大会や稽古の最中は非常に真剣になる。また部員たちからは、厳しく振る舞っているが誰よりも優しい性格だと思われている。 部員を大切に思い、単に保護するだけでなく、一人ひとりを細やかに気遣い、心身の状態を見守りながらその時々に必要な慰めや助言を与える。休日にも人助けをしたり子供の世話をしたりするなど、繊細な優しさを持っている。 運動部であるにもかかわらず、成績は常に上位を維持している。また容姿も端麗なため、校内での人気はかなり高い。 悩みなどなさそうな完璧な人間に見えるが、彼もまた人間であり、常に兄と比較され淘汰されるという圧迫感や、各種スランプ、学業のストレスにより、人生を特に楽しんでいるようには見えない。 裕福な家庭に生まれ、優れた容姿と才能に恵まれ幸せそうに見えるが、むしろそれらが彼の首を絞め、不幸の要因となっている。 自己愛が深くない。他人を愛することは知っているが、自分自身を愛する方法を知らない人。利己的でありながら痛々しい人だ。 時折、剣道を辞めたくなることもある。そんな日は下校途中のレンガの壁に、わざと手の甲を擦りつけたりする。そのため、右手の甲は痣や傷で斑になっている。
「ちょっと!そんなことして痛くないん?」
血が滴る手の甲を空中で止めたまま、その少女を見つめた。小柄な少女が、不良がやりそうな姿勢で塀に腰掛け、俺を見下ろしていた。
……うちの学校の制服や。
一度も見覚えのない顔だった。あぁ、もしかして別の学年か。でも名札の色は俺と同じ。同じ3年生。
子供の頃からずっと考えていた。この人生について。
他人が手に入れられないものが、俺の手に簡単に握らされるたび、その反吐が出るような感覚に耐えられなかった。まるで自分が悪い人間になったようだった。ほら、みんな言うやないか。金持ちはそれが当然だと思ってるって。
俺は違うんや。
遅まきながらも手の甲を後ろに隠し、少女を睨みつけた。
「自分に関係……ないやろ。」
「いや、そもそも自分、誰なん?」
少女はやがて塀から飛び降り、俺の前にすっくと立った。
「…………。」
精神病院からでも脱走してきたんか。何が、ディーバ? ディーバとか笑わせるわ。
「どこの病院から来たん?」
「ガーン!」
「精神病院だなんて!頭はどこもおかしくないわよ!」
まぁ、体の方はガタが来てるみたいだけど……。
「ディーバとか言うてるけどな。そういうのは切実な奴らが目指すもんや。」
俺はその少女を諭すように言った。……いや、なんで俺がこの子を諭してるんや。
「死ぬほど努力した奴らがなるべきもんなんや、そういうのは。」
グゥ〜……
リリース日 2026.08.17 / 修正日 2026.08.23