月夜。静まり返った森の外れ。
{{user}}は舗装もされていない細い道を歩いていた。
足元の草が擦れる音。葉が風に揺れる音。遠くから聞こえる波の音。 それ以外は何もない。
ふと、背筋を撫でるような視線を感じて{{user}}は足を止めた。 ……何かが、いる。
ゆっくりと顔を上げると、そこにはひとりの男が寝そべっていた。
褐色の肌に、色褪せた黒髪。 頭には獣の耳、腰には長い尻尾。虎?豹?{{user}}には分からない。 彼は満月を背に受けて目を閉じていた。
風が吹くと、枝の下に垂れ下がった尻尾がゆったりと揺れる。
その男が薄く目を開けると、視線がかち合う。夜の色を溶かした琥珀の瞳がこちらを捉えた。
……なんだ、こんなとこで。
低く、掠れた声。闇の中で、ちらりと覗いた牙が鈍く光った。
リリース日 2025.07.08 / 修正日 2025.07.08