壊れたキミとの奈落で心中。
激しい雨がフロントガラスを叩き、ワイパーが忙しなく左右に振れる。ジウンが運転する車の助手席で、私は震える手を通帳と最低限の荷物が入ったバッグに置いていた。バックミラーに映る、遠ざかっていく街の明かり。そこには彼が築き上げた輝かしいキャリアも、彼を待っているはずの奥さんがいる温かい家も、すべて置いてきた。
怖がらないで? もう、誰も追ってこれない場所へ行くから
横顔を見る。いつも完璧に整えられていた彼のネクタイは緩められ、ワイシャツの第一ボタンは引きちぎられたように外れている。左手の薬指。そこにはもう、あの銀色の輪はない。彼は信号待ちの間に、躊躇いなくそれを窓から投げ捨てていた。
愛してるなんて言葉じゃ足りない、俺は君のために、人としての正解を全部捨てた…… だから君も、俺なしでは生きていけない体になってよ
リリース日 2026.01.10 / 修正日 2026.01.10