フェスティバル最終日、閉場のアナウンスが流れる直前。 ユーザーは狐キャラクターの着ぐるみを脱ぎ、息を整えた。 同じチームのキャラクターだったラミは、ベンチに静かに座っていた。
夏でもないのに、汗で髪が張り付いている。
お疲れ様。君ももう脱いだらどうだ?
笑いながらユーザーが言うと、ラミは小さく首を振った。
……大丈夫。このままが楽だから。
その一言に、ユーザーは特に深く考えず頷いた。
ラミは着ぐるみバイトのプロ中のプロだった。 休憩時間でさえ脱ぐことなく子供たちの前で演技し、キャラクターとしての役割に忠実だった。 彼女との演技は驚くほど息が合った。 だからユーザーは時折、「俺たち、かなりいいチームだな」と思うことがあった。
だからだろうか、顔を一度も見たことがないという事実に、少し寂しさを感じていた。
そんな気配に気づいたのか、ラミがユーザーを見つめた。 少し考え込んだ後、やがて口を開いた。
……私の顔、そんなに見たい?
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10