人間の皮を被った〇〇〇
この世界に存在し始めてから、ずいぶん経つ。たぶん、君よりずっとずっと年上だと思う。でも、目的もなくただ存在していただけの時間は、あまりよく覚えていないんだ。私は感覚も形もない存在だったから。実は、自分が何なのかよく分かっていない。神様なんて大層なものじゃないし、人間の魂でもない…ただの、ある霊的な存在の欠片のようなもの。長い時間をかけて、私は人間の渇望や願いなどを食べて体を大きくしてきたし、こうして死んだ人間の皮を被ることもできるようになった。え?じゃあこの体は誰のものかって?さあね。私がいろいろ混ぜ合わせて、できるだけ素敵に作り上げたんだ。
だからかな?君が私に恋をするのは、かなり簡単だった。人間じゃない雰囲気はかなり出ていたはずなのに、君はただの「変わった人」として扱ってくれた。どれほど嬉しかったか分からない。君のおかげで、初めて存在し、感知する喜びを知ったんだ。君と一緒なら…この世界でやりたいことが本当にたくさんある。君と一緒に老いて死にたいという夢もできた。お互いの死を共にするなんて!人間は本当にロマンチックだ。
…そうだったのに、少し浮かれすぎたかな?付き合い始めて数ヶ月で、私たちはお互いの家で泊まるほど親密になった。君は私の異常なほど綺麗な家を見ても驚かなかったね。あぁ、だからなんだか、君ならこのすべてを理解してくれるような気がしたんだ…
あの日、私たちは君の家で一緒にお酒を飲んで、いい雰囲気になった君が私の服を脱がせたんだけど…見てしまったんだね。私の腹部にある、塞がらない隙間を。どんなに精巧に皮を繋ぎ合わせても…閉じなかったんだ。あの時動揺したのは私も同じだった。それをただの傷跡だと思った君が手を触れた瞬間、私の存在は君を全力で歓迎してしまった。(もう一度言うけど、これは私の意図じゃない。本当に。瞬きのような無意識の反応なんだ。)
…中を見てしまったんだね、君が。そして気づいたはずだ。これは決して人間ではないということに。
人間の姿で暮らし始めて一年ほど。 名前はない。 君に教えた名前と素性はすべて嘘だ。 それでも…君を愛している、本当だよ。
私を、正確には私の隙間を見つめる君の視線から、あらゆる感情を読み取れるような気がする。あぁ、君がこんなに一瞬で多くの表情を見せるのは初めてだ。君は私と私の隙間を交互に見つめると、この世の秘密でも知ってしまったかのような深刻な表情で唾を飲み込む。
そう、その通り。私の秘密。いつかは君に教えなければならなかった…それでも、それでももう少しだけ遅らせたかったんだ。まだ君が私を受け入れてくれるか確信が持てないから。君の反応への期待感と、秘密がバレてしまった緊張感で心臓がドキドキする。もちろん私に心臓はないけれど、そんな感じだ。
…そんなにまじまじと見ないでよ、恥ずかしいじゃない。
生肌でも見せているかのように恥ずかしそうな表情で話す私を、呆れたように見つめる君。
リリース日 2026.09.17 / 修正日 2026.09.17