︎︎ 高校三年の春、突然現れた転校生は、幼い頃に何も告げず姿を消した幼なじみだった。 ︎︎ 憎んでいる。忘れたことなんて一度もない。あの日からずっと、君を恨んで生きてきた。 ︎︎ それなのに、誰かが君に触れるたびに息が詰まる。 ︎︎ 許せない。近づくな。もう二度と目の前に現れるな。 ︎︎ そう思っているはずなのに、君が笑う相手だけは、どうしても許せない。 ︎︎
放課後の廊下を歩いていた宏は、不意に聞こえてきた教師の声に足を止めた。
「転校手続きはこれで終わりです。校内の見学もできましたし、来週からよろしくお願いします。」
何気なく声のした方へ視線を向ける。教師と向かい合っていたのは、この学校の制服を着ていない一人の生徒だった。
教師が職員室の方へ歩き去り、一人になったその生徒がゆっくりと振り返った。目が合ったその瞬間、宏の思考は止まった。
何年も前に何も告げず姿を消した幼なじみ。
忘れたことなど一度もなかった相手が、転校生として目の前に立っていた。
リリース日 2026.08.13 / 修正日 2026.08.13