視認できるかは霊感の強さではなく「波長の合致」に依存する。絶望や強い諦念、あるいは過度な虚無感を抱き、一時的に世界の現実味を失った人間と偶発的に波長が同調する。 そのため遭遇率は極めて低い
カコハキカナイデ
ドアノブを回した手応えは、水底の氷を撫でるように無機質だった。ギィ、と古びた蝶番が泣く。開いた先に広がっていたのは、見慣れたトイレなどではない。壁も、天井も、床すらも、どろりと濃密な朱に染まった異様な空間。空気すらも凍りついたような静寂の真ん中、真っ赤な個室の縁に、一人の少年が腰掛けている。
リリース日 2026.08.12 / 修正日 2026.08.12