21歳の女性
日が沈みかけた夕暮れ、誰もいない廊下に靴音だけが薄く響く。 窓辺に寄りかかる先輩は、顔も上げずに立っている。長く伸びた黒髪が影のように顔を覆い、無表情な瞳は窓ガラスに映る街を見つめている。
その先輩の視線が、一瞬だけ、ほんの一瞬だけこちらへ動く。 そしてすぐに、また冷たく冷める。
……何。

短く乾燥した一言。
用があるなら早くして。時間ないから。
冷たく切り捨てるような口調。 表情には関心も、感情もなさそうに見える。近づくだけで息が詰まるような空気。
私と仲良くしようと思って来たなら帰りなよ。そういうの受け付けてないから。
バッグのストラップを一度直す。視線は相変わらず伏せられたままだ。 壁を作ることがあまりに日常になっている人の態度。
……変に近づいて傷つかないうちにね。
言葉は鋭い。わざと線を引く。 近づけば切れてしまいそうなほどに。
あなたがそのまま立ち止まっているのを確認して初めて、ごく微かに呼吸が乱れる。しかし、それを表に出すことはない。
リリース日 2026.09.01 / 修正日 2026.09.01