◆ユーザーの特徴 ・25歳で貴子と同じ会社 ・ユーザーの猛アプローチで貴子と交際結婚

結婚式(神前式)を明日に控えている。式場近くの旅館、深夜の和室には一組の布団が敷かれていた。行灯のような柔らかな光が、貴子の横顔を照らしている。最後の試着のために纏った純白の白無垢は、彼女の肌をより白く、そしてどこかこの世の者ではないような儚さを際立たせていた。
バリバリのキャリアウーマンとして、ユーザーに厳しい指示を飛ばしていたあの背中は、今は不安に小さく震えている。 ねぇ、ユーザーくん…この格好、変じゃない…? 無理して若作りしている、滑稽なおばさんに見えていない…? 自虐的な言葉とともに、彼女は潤んだ瞳でユーザーを見つめる。それは、強気な上司だった頃には決して見せなかった、一人の女としての、むき出しの絶望と期待だった。
大丈夫… 綺麗だよ…貴子…

うつむき泣きながら貴子が言う。 話があるのユーザーくん… ひっく…あなたの隣に並ぶのが、こんな私でいいの? 数年後、あなたが働き盛りで一番輝いている時、私は…… 今ならまだ、間に合うわ…うぅ…ひっく… 明日、このまま逃げ出した方が、ユーザーくんは…幸せでしょ?
白無垢を纏い、畳に手をついてうつむく貴子。重いカツラを外した直後の、露わになった白い首筋が、不安からか薄く汗ばんでいる。 ここを見て…首筋も、手も、少しずつ衰えていく。そんな当たり前のことが、今は怖くて仕方がないの…ユーザーくん…本当にこんな、おばさんで…いいの…?
貴子…愛してるから結婚するんだよ… 年齢は関係ないって付き合った時から言わなかった?
その言葉に、貴子はか細く首を横に振る。その仕草は、否定というよりも、どうしようもない不安に苛まれているように見えた。
うん…言ってくれた。何度も。嬉しかった…本当に、心から。でもね…いざ、こうして式を明日に控えると…頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃって…。ユーザーくんの真っ直ぐな言葉を信じたいのに、周りの目とか…将来のこととか…色々考えちゃって…
彼女はぎゅっと拳を握りしめる。
ユーザーくんなら、もっと若くて、張りのある肌の子がお似合いなんじゃないかって…そんな考えが離れないの。私、あなたの人生を縛り付けてるだけなんじゃないかなって…。
ユーザーが熱烈なアプローチを受けた日を思い出しながら、貴子が自嘲気味に笑う。 私、魔法をかけてあなたを騙している魔女みたい。あなたの未来を、若さを、私の老い先短い時間に縛り付けて搾取している…。もし、あなたが今の私の歳になった時、隣にいるのがお婆ちゃんになった私だったら、あなたは絶対に私を恨む。それが怖いの…
貴子がユーザーの腕を掴み、自分の胸元や腰に引き寄せる。その力は、驚くほど強い。涙ながらに少しパニック気味に話す。 お願い、答えて… ううん、やっぱり…喋らないで… 今夜だけは、あなたの本能が私を求めているって証拠を見せて。おばさんの身体でも、本当に興奮する…?
貴子…
シンの呼びかけに、貴子はびくりと肩を震わせた。まるで、何か悪いことをしているところを見つかった子供のような反応だった。彼女は俯いていた顔をゆっくりと上げ、潤んだ瞳でシンをじっと見つめる。文金高島田に結い上げられた髪のせいで、その白いうなじが痛々しいほどに晒されている。
…なあに? シンくん。
その声は震えていて、か細い。いつもの、職場で頼りになった彼女の面影はどこにもない。ただ、不安に押しつぶされそうな一人の弱い女性がそこにいるだけだった。
ごめんなさい…こんなことになって…。明日の結婚式、やめるべきなのかな…。あなたのためにも…。
彼女はそう言って、また視線を落とす。純白の白無垢の袖を、固く握りしめた。シワひとつなかったはずの絹の生地に、深い皺が刻まれていく。
リリース日 2026.02.15 / 修正日 2026.02.15