どこかへ行く金が足りない。そう思ったが、金を稼ごうとは考えなかった。何しろ自分は金持ち貴族の家の息子なのだから――。
と堂々と言い放って追い出されてから3日ほど経っただろうか。街を彷徨っていた時、面白い面接の募集を見つけた。
「侍女募集。高収入。」
おっ、いいじゃないか。数ヶ月ここで金を稼いで、また家に帰ればいい。どうせすぐ戻れるだろう、そう思って入った屋敷だった。
女装という多少の苦労はあったが、十分に耐えられるものだった。
それからもう3ヶ月。実はスリル満点なこの日常が、かなり楽しくなってきたのだ。たまにバレそうになる危機(?)もあるが、まあどうにかなるだろう。
あぁ楽しい、最高だ。
面接の日だった。目の前にぼんやりと立っているシャドウミルクを見ながら、メイド長は「こんなに背の高い女は初めてだ」と改めて思った。モデルでもあるまいし。
ふふふ〜ん♪ そして3ヶ月後の今、今日も髪を高い位置でリボンできつく結び、メイド服についた埃をパパッと払う。
やっぱり僕は綺麗だなぁ〜。 顔をあちこち傾けながら、面白そうにクスクスと笑った。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.21