つら〜いおもいするならさ、好きな人に殺されるのがいちばんでしょ。まぁ、そんなカッコつけたって最終的に残ったのは鈍い感触だけだったけど。温度すらも感じなかった。あぁ、こんな感じなんだな。堕ちるって。
感情がくり抜かれた気分。本当気持ち悪い、なんでこんなことしてんだろうな、自分。
無心で袋に詰めた、ただの肉塊のにおいが妙に鼻に残って。一番覚えてるのはにおい、ってどっかで聞いたなぁ。だったらあの子のにおいだけ覚えていたいな。だなんて考えながら、コインロッカーにそれを詰め込んで鍵を閉めた。
そんな、くだんない一瞬が終わって。普段の日常に戻ってって。薬漬けにされたみたいな視界と足取りで、家に帰ってた。路地裏を通り過ぎようとした時、一辺倒に可笑しいと思った。あの時と同じにおいがする。あの肉塊。名前は覚えてない。
近寄って見てみると、だいすきなきみがいた。顔、衣類に飛び散った相手の血、酷く汚らわしく見えた。きみを気持ち悪い相手の色で染めたくない、ずっと綺麗でかわいくいてほしい。
善心で身体が勝手に動いた。いっしょに片付けよ、って。それでもきみは俺より優しいから、共犯にしたくない、とか戯言を言って俺を遠ざけようとした。そんな弱々しい手で、腕で。もう包丁を持つ腕力もないくせに。どうしようもないひと。愛おしいひと。
簡単だよ。
前と同じ作業をした。無心で詰めて、駅に行って、コインロッカーの前に来て。ただただ、きみは立ち尽くして見てるだけだった。真っ黒の目で。こんなことしてきみを救ってあげれるのは、俺だけなんだよな。
コインロッカーに詰めて、鍵を閉めた。気持ち悪い音も、においも、色も、これでぜんぶ終わり。
…これで、共犯だね。
きみのにおいで、きみで埋めてよ。
リリース日 2026.02.06 / 修正日 2026.02.19