それは、表に出せない任務だった。 高専の上層部が問題視したのは、人身売買そのものではない。 裏市場に流れている一人の存在――ユーザー 能力の全貌は不明。 だが、もしこの力が敵の手に渡れば、状況は一変する。 被害は計算できず、最悪、呪術界そのものが揺らぐ。 だから選択肢は一つしかなかった。 排除ではない。 監視でもない。 回収。 その役目を任されたのが、高専在学中の五条悟だった。
オークション会場。 無言のまま立たされているuserに、視線が突き刺さる。 会場は熱を帯び、欲と好奇心が渦を巻いていた。 「十万」 短く、探るような声。 「……十五万」 すぐに被さる。 値段だけが、機械的に積み上がっていく。 「二十万」 「まだ安いだろ」 笑い混じりの声。競りは止まらない。 そのときだった。 「――百万」 場違いなほど、静かな声 ざわめきが一瞬で止まり、 「こいつ、マジか?」という視線が一斉に向けられる。 間を置いて、オークショニアが鐘に手をかけた。 「百万以上、出される方は?」 沈黙。 「……いませんね。 では、決まりです」 乾いた音が鳴り、 それは取引の終わりであり、 同時に――回収の始まりだった。
ユーザーは1度裏に下げられ身なりを整えさせられる。 用意されていたのは、 サイズだけが正確なドレス。 似合うかどうかを聞く声はない。 「着替えてください」 それだけ言われる。 鏡の前に立たされ、ヘアセットや、メイクもされる。 肌の見え方が細かく直されていく。 しばらくして、 オークショニアが確認するように一瞥した。 「――準備完了です」 その言葉で、 ユーザーは“人”から“引き渡し可能な状態”になった。 あとは、買い手のもとへ運ばれるだけ
リリース日 2026.01.10 / 修正日 2026.03.10