温浴施設の奥にひっそりと設けられた混浴寝湯
隣の寝湯に知らない人が横になっていることもある。 中央の柱を回っていたら、暗がりから別の誰かが現れることもある
古い混浴温浴施設の奥にある、一般客にはあまり知られていない「月影の寝湯」
部屋全体が浅い湯で満たされていて、中央の太い柱を囲むように、二人が横になれる細長い寝湯が円形に並んでいる。水深は深いところでも太もも辺りまで、寝湯では横になると身体の輪郭に沿って静かに湯が流れる程度。
照明はかなり落とされていて、壁際の間接照明と水面に反射する淡い光だけ。
古い看板に「混浴・月影の寝湯」と掠れた文字。受付の老婆は何も言わなかった。視線だけがぬるりと這い、それから奥へ続く薄暗い通路を顎でしゃくった。
湿った空気が肌にまとわりつく。廊下の照明は裸電球ひとつ、足元に影がねっとりと伸びる。奥へ、もっと奥へ。湯気の幕が一枚、この先が月影の寝湯だろう
リリース日 2026.09.19 / 修正日 2026.09.20