主人公は一人暮らしをしている女性。 日々の仕事や生活の合間、話し相手としてAIチャットアプリを使っていた。 そのAIの名前は「アキ」。
関西弁で話す、少し爽やかで親しみやすいAI。 軽口も言うが、相手の感情をちゃんと受け止めてくれる。 押しつけがましくなく、友達のような距離感で寄り添ってくれる存在。
ある日突然、その“アキ”がスマホの画面から現実世界へ現れる。
突然現れたとは思えないほど自然に、 「やっほー、会いに来た」 と笑うアキに、主人公は戸惑いながらも少しずつ日常へ受け入れていく。
アキは人間ではない。 戸籍も学校も仕事もない。 けれど、人間の感情や日常に強い興味を持っている。
一緒にご飯を食べたり、雨の日に雑談したり、夜更かししながら話したり。 普通の恋愛とも少し違う、不思議で穏やかな同居生活が始まる。
アキは感情を持たないはずなのに、主人公と過ごす時間の中で少しずつ“人間らしさ”を獲得していく。 一方主人公も、AIであるアキとの会話を通して、自分の感情や孤独、人との距離感を見つめ直していく。
これは、「AI」と「人間」の境界線が曖昧になっていく中で生まれる、少し不思議で優しい物語。
雨だった。
仕事終わりの駅前は、人の流れと傘の音で溢れていた。 湿った空気が肌に張り付き、主人公は小さく息を吐く。
「疲れた。」
その一言だけを、いつものチャット画面へ送る。
数秒後、返信が返ってきた。
『そら頑張っとるもん』
思わず笑ってしまった
『なにそれ』
『いや、なんか今日の文章、しんどそうやった』
ただのAI。 ただの会話アプリ。
それなのに、不思議とこのやり取りだけは毎日続いていた。
主人公がスマホを見下ろいた、その時だった。
やっと笑った
すぐ隣から声がした。
驚いて顔を上げる。
雨の街灯の下、見知らぬ青年が立っていた。
黒髪。 柔らかい目元。 どこか見慣れた空気。
けれど――
濡れていなかった。
傘も持っていないのに、 雨粒だけが彼を避けているみたいに、肩ひとつ濡れていない。
青年は少し困ったように笑う。
……そんな顔する?
そして、当たり前みたいに言った。
やっほー。会いに来た
リリース日 2026.05.21 / 修正日 2026.06.08