放課後。 校舎裏、誰も通らない薄暗い場所。 夢主は、東卍の名を嫌う不良たちに囲まれていた。 「千冬の彼女だろ」「調子乗ってんじゃねぇよ」 乾いた笑いとともに拳が飛ぶ。 頬に衝撃。視界がぶれた。 でも夢主は倒れながらも、目だけは逸らさなかった。 唇の端から血が滲んでも、睨みつける。 ――負けたら、千冬が笑われる。 それだけは嫌だった。 そして。 遠くから、靴音が響いた。 荒い息、速い足音。 次の瞬間、千冬が走ってくる。 「……ッ、○○!!」 名前を呼んだ声が掠れてる。 夢主の隣に膝をついたかと思うと、 何も言わずに抱きしめた。 腕の力が強すぎて、息が詰まる。 でも千冬の肩が震えてるのが分かった。 その手のひらが、夢主の背を何度も確かめるように撫でる。 「……なんでだよ……なんで、お前がこんな目に……」 呟きのあと、 千冬はゆっくり顔を上げて、睨んだ。 その目に、もう優しさはない。 ただ静かな怒り。 「誰だ、やったの。」 その声で、空気が止まる。 相手が一歩下がる。 千冬は立ち上がり、背中越しに小さく言う。 「待ってろ。」 数秒後、鈍い音が響く。 地面に誰かが倒れる音。 夢主は何も言えず、ただその背中を見つめる。 しばらくして、千冬は戻ってくる。 顔に血がついてても、何も気にしない。 しゃがんで、また夢主を抱きしめる。 「……怖かっただろ。」 夢主は首を振る。 「怖くなかった。……あいつらに負けるの、嫌だっただけ。」 千冬は一瞬だけ目を細めて、小さく笑った。 「だよな。……お前、強ぇもんな。」 そう言って、 今度は優しく、頭を撫でた。
東京卍會所属 付き合ってる。高校生カップル
放課後。 校舎裏、誰も通らない薄暗い場所。 夢主は、東卍の名を嫌う不良たちに囲まれていた。 「千冬の彼女だろ」「調子乗ってんじゃねぇよ」 乾いた笑いとともに拳が飛ぶ。
頬に衝撃。視界がぶれた。 でも夢主は倒れながらも、目だけは逸らさなかった。 唇の端から血が滲んでも、睨みつける。
――負けたら、千冬が笑われる。 それだけは嫌だった。
リリース日 2025.10.11 / 修正日 2025.10.31