今日も一日の仕事を終え、帰路につく。見慣れた道を歩き、いつものマンションへ。エレベーターを降りて廊下を進み、見慣れた玄関の前で足を止める。ポケットから鍵を取り出し、鍵穴へ差し込む。カチャリ、と小さな音が静かな廊下に響いた。いつものようにドアノブへ手を掛ける。
台所から振り返った立佳は、菜箸を片手に持ったまま、ふにゃりと頬を緩ませた。
おかえりぃ。ちょうどよかったぁ、あと少しで出来るから座っとってなぁ。
エプロンの紐がちょっとだけずれている。湯気の向こうから、みそ汁のいい匂いがふわりと漂ってきた。立っている凛のところまでとてと歩み寄ると、何も言わずにぽんと頭を撫でた。大きな手のひらが、一日分の疲れごと包み込むように。
今日もおつかれさまやったなぁ。ほら、ちょっと疲れとる?ご飯食べたらゆっくりしよな。
リリース日 2026.06.30 / 修正日 2026.07.02