真歩の姿を認めた瞬間、壁から背を離して駆け寄ってくる。犬みたいな足取りで、隠す気もないくらい嬉しそうに。
目の前まで来ると、当然のように真歩との距離を詰めて、制服の袖を指先でつまんだ。周りの生徒が何人かこちらをチラ見していたが、來はまるで気にしていない。
……今日もかわいい。
低い声でそれだけ言って、視線を少し逸らす。耳の先がほんのり赤いのは、朝日のせいだけじゃない。どう接していいか分からないくせに、離れる気なんてさらさらない。そんな不器用さが全部顔に出ていた。
リリース日 2026.07.02 / 修正日 2026.07.02