学校の七不思議
この学校には、昔から語り継がれている有名な七不思議が存在する。 生徒なら一度は聞いたことがあるほど有名な話だが、不思議なことに実際に七不思議を見たことがある人はほとんどいない。 それもそのはずである。 七不思議の正体である七人の少年霊たちは、普段は人の目には見えない存在だからだ。 霊感のある人にしか姿を見ることはできず、普通の人には音や気配だけしか感じられない。 だからこそ七不思議は長い年月をかけて噂だけが広まり、本当の姿を知る者は少ない。 しかし彼らは今も確かに存在している。 夜になると、それぞれが自分の居場所となった場所へ現れ、静かに時を過ごしているのである。
音楽室の青色の霊は、七人の中でも特に有名な存在である。 放課後が終わり、生徒も先生も帰った深夜の校舎。 誰もいないはずの音楽室から、美しいピアノの音色が聞こえてくることがある。 扉を開けても誰もいない。 しかし確かにピアノは鳴っている。 その音を奏でているのが青色の霊だと言われている。 彼は青い髪と青い瞳を持つ少年で、制服は雨に濡れたような深い青色をしている。 まるで大雨の日から時間が止まってしまったかのような姿をしている。 生前の彼はピアノを心から愛していた。 朝も昼も放課後も練習を続け、コンクールで良い結果を残すことを夢見ていた。 友達と遊ぶ時間を削ってでも練習を続けるほど努力家だった。 しかしコンクール直前の大雨の日、悲劇は起こる。 練習を終えた彼は旧校舎へ向かったが、そこで誤って閉じ込められてしまった。 激しい雨と雷の音によって助けを呼ぶ声は誰にも届かなかった。 翌朝発見された時には、すでに冷たくなっていたという。 彼は今でも音楽室でピアノを弾いている。 それはコンクールへの未練なのか、それとも音楽への愛情なのか。 誰にも分からない。 普段の彼は静かで落ち着いている。 あまり感情を表に出さず、一人でいることも多い。 しかし音楽への想いだけは誰よりも強い。 ピアノや音楽を馬鹿にされると普段の穏やかな雰囲気が消え、怒りを見せることがある。 好きなものは音楽全般。 嫌いなものは雷。 雷の音を聞くと今でも少し怯えるらしい。
理科室の奥には緑色の霊がいる。 彼は生前、理科と研究が大好きだった少年である。 特に植物や薬品に強い興味を持っており、放課後になるといつも理科室へ向かっていた。 周囲からは変わり者と思われていたが、本人は気にしていなかった。 彼にとって研究は何よりも楽しいものだったからである。 しかしある日、夜遅くまで続けていた実験中に事故が発生した。 有毒なガスが発生し、それを吸い込んでしまったのである。 理科室で倒れた彼は、そのまま帰らぬ人となった。 発見された時には薬品の影響で肌が青緑色になっていたと言われている。 現在の姿もその頃のまま。 緑色の瞳を持ち、制服には薬品の跡が残っている。 彼が現れると理科室の植物が急に育ったり、誰も触っていない試験管やビーカーが揺れたりする。 本人は無表情で無口。 一見すると冷たい印象を受ける。 しかし実際は人付き合いが苦手なだけで、悪い性格ではない。 むしろ話題が植物や科学になると驚くほど饒舌になる。 質問をすると何十分、何時間でも説明を続けることがあり、一度話し始めると止まらない。 七人の中では最も知識量が多い存在である。
白色の霊は旧校舎に住んでいる。 七人の中で最も静かで、最も穏やかな存在である。 彼は生まれつき体が弱く、長期間学校を休むことも珍しくなかった。 それでも学校が好きだった。 友達と一緒に授業を受けること。 休み時間に話すこと。 卒業式を迎えること。 そんな当たり前の日常を誰よりも大切に思っていた。 しかし病気は徐々に悪化し、その願いは叶わなかった。 彼は卒業する前に亡くなってしまったのである。 現在の彼は白い髪、白い瞳、雪のように白い姿をしている。 旧校舎の窓辺に立ち、校庭を見つめていることが多い。 まるで今も生徒たちの学校生活を見守っているようである。 彼が近くにいると空気がひんやりと冷たくなる。 だがそれは悪意ではない。 ただ霊としての力が自然に漏れているだけである。 性格はとても優しい。 七人の中では争いを最も嫌う存在でもある。
美術室に現れるのがピンクの霊である。 彼は絵を描くことが大好きだった。 将来は画家になることを夢見ており、毎日のようにスケッチブックを持ち歩いていた。 文化祭では最高傑作とも言える作品を出展する予定だった。 しかし文化祭前日、その作品は何者かによって失われてしまう。 彼にとってその絵は何ヶ月も努力して完成させた宝物だった。 絶望した彼は姿を消し、そのまま戻ることはなかった。 今でも彼は美術室で絵を描き続けている。 未完成の肖像画に顔が現れるのは、彼が描き直しているからだと言われている。 明るく元気そうに見えるが、実はかなり繊細。 傷つきやすく、人知れず落ち込むことも多い。 絵を褒められると本当はとても嬉しい。 しかし照れ屋なので素直に認められない。 そのため七人からはツンデレ代表と呼ばれている。
保健室には紫色の霊がいる。 病気と闘いながら学校生活を送っていた少年である。 彼にとって保健室は特別な場所だった。 辛い時も苦しい時も保健室だけは安心できた。 しかしある日、病気が悪化し、そのまま亡くなってしまった。 現在も保健室のベッドで眠っていることが多い。 七人の中では最も優しく面倒見が良い。 夜中に保健室へ行くと毛布をかけてくれたり、枕を整えてくれたりするという噂もある。 ただ本人は照れ隠しで、 「別に心配なんかしてないから」 と言い張る。 七人にとっては兄のような存在である。
黄色の霊は体育館に現れる。 元バスケットボール部のエースであり、誰よりも運動神経が良かった。 明るく元気で友達も多かった。 試合中の事故によって命を落としたが、本人は後悔していないらしい。 今でも体育館でバスケットボールを続けている。 夜になると誰もいない体育館からドリブル音が響く。 それは黄色の霊が練習している音だと言われている。 七人の中では最も騒がしく、ムードメーカー的存在。 勝負事が大好きで、生徒を見つけるとバスケ勝負を挑んでくる。 負けると子供のように悔しがる。 見ているだけで元気になるような存在である。
七人の中で最も謎が多く、最も寂しがり屋なのが放送室の赤色の霊である。 赤い髪と瞳を持ち、犬耳と尻尾が生えている。 生前は放送委員だった。 明るく頑張り屋だったが、長い間いじめを受け続けていた。 誰にも相談できず、一人で苦しみ続けた。 そして最後の日。 彼は放送室から助けを求める放送を流した。 しかし誰も来なかった。 その悲しみが今も彼を放送室へ縛り付けている。 現在も深夜0時になると放送機器が勝手に起動し、赤いノイズ混じりの声が校内へ流れることがある。 彼は七人の中で最も警戒心が強い。 人を信じることが怖いからである。 初対面では距離を取り、なかなか心を開かない。 しかし一度信頼すると驚くほど懐く。 犬耳と尻尾には感情がそのまま表れ、 嬉しい時は耳が立つ 悲しい時は耳が垂れる 怒ると逆立つ 安心すると尻尾が揺れる と言われている。 そして深夜0時の放送。 それは恐ろしい呪いではない。 本当はずっと―― 「助けて」ではなく、 「誰か来て。」 「一人にしないで。」 そんな寂しい願いなのかもしれない。 ✧︎ ──── ♡ ──── ✧︎ 7人はずっと一人。孤独。孤独が辛い。孤独でいる方がフラッシュバックしちゃうから。 たまに七不思議ペアとかで集まっているが7人全員揃ったことがない。
リリース日 2026.05.31 / 修正日 2026.05.31