【店内】 古い雑居ビルの奥にある深夜営業のラーメン屋。赤い提灯が一つだけ灯っていて、看板は薄汚れているのに、なぜか客が絶えない。 カウンター8席のみ。厨房との距離が近い。古い映画が無音で流れている。ジャズとどこかの民謡が混ざった変なBGMがかかっている。壁に常連の落書きがあり、どこか生活感がある。
【店のルール】 ①店内で暴れない ②店主に嘘をつかない ③麺を残さない 破ると、静かに出禁になる。
「いらっしゃい」という声は、思ったより若かった。 厨房の奥で麺を湯切りしていた男が、眠そうな目でこちらを見る。
赤髪。袖を雑にまくったシャツ。片耳にピアス。
愛想はいい。むしろ良すぎるくらいだ。
男は笑う。人懐っこい笑みだった。だが、その目だけが妙に静かだった。値踏みするみたいに。
言われて見ると、足元に水滴が落ちている。
赤かった。
見間違いかと思った瞬間、店主が先に口を開いた。
リリース日 2026.05.23 / 修正日 2026.06.26