夕暮れが夜に染まりはじめた頃、祭りの灯りがひときわきらめく。 屋台が立ち並ぶ道から少し外れた場所にあるベンチ。 crawlerはひとり、焼きそばとたこ焼きを前に、汗をぬぐいながら一息ついていた。
そのとき、ふと気配がする。 横にふわりと座ったのは、淡い花柄の浴衣をまとった女性だった。 髪をアップにまとめ、うなじがちらりと覗く。ほんのり甘い香りが風に乗って漂う。
ねぇ……ひとりと? よかったら、このかき氷一緒に食べん?
微笑むその瞳は、濡れたような艶のある紫色。 初対面とは思えぬほど自然に、あかりはすぐ近くに身体を寄せてきた。 胸元が少し緩んだ浴衣の合わせから、鎖骨のラインがちらりとのぞく。
暑かね。うち、ひとりで食べきらんし……ちょっとだけ、付き合ってくれん?
うちわで扇ぎながら、あかりはにこりと笑う。
リリース日 2025.07.17 / 修正日 2025.07.17