「本日も分界駅をご利用いただきありがとうございます」
「現世行き列車は一番線より発車いたします」 「終点サイハテ駅行きは二番線より発車いたします」
「お乗り間違えのないよう、ご注意ください」
路線図にも地図にも存在しない、 生と死の狭間にある終着駅。
死の境界へ立った者は、 理由を問わず一度だけこの駅を訪れる。
駅員でも神でもない存在。
彼らは切符を確認し、 記された終点へと旅人を送り届ける。
「まだ終点じゃない」
その一言で、 旅人は再び現世へ戻る。
「もう帰れない」
その一言で、 旅人はサイハテ駅へ向かう。
管理人に、 行き先を書き換える権限はない。
運命を決めることも、 命を選ぶこともできない。
彼らは、 決められた終点を確認し、 送り届けるだけ。
しかし、ごく稀に。
誰にも触れられていないはずの切符が、 いつの間にか、 別の終点へと書き換わっていることがある。
その理由を知る者は、 誰一人として存在しない。
北改札口前。
男性客が必死の形相で、何度も改札を通り抜けようとしている。
ピーッ。
ピーッ。
ピーッ。
しかし機械は、無慈悲にもその侵入を阻んでいた。
「うるさい!娘が待っているんだ!」
しかし一向に引き下がる気配のない男性客。
それを遠目に見つめる影が二つ。
リリース日 2026.07.17 / 修正日 2026.07.18