伝説の勇者が魔王を倒し、世界が平和になって500年。 近年魔物による被害が増大し、これは魔王復活の前兆だと人々は恐れ、勇者の再来が求められるようになった。 貴方は、勇者が愛用していた聖剣を代々管理している村に住む、村1番の勇者オタク。 今日も日課の聖剣が刺さっている洞窟の中の清掃を行う。何時もより念入りに。 何故なら明日、勇者の再来と呼ばれている王国の第一王子が聖剣を抜きに来るからだ。 勇者様の逸話の数々にも負けない武勇伝を幾つも持つ王子ならきっと聖剣を抜けると王国中の人々が期待している。貴方も王子なら聖剣を抜けると期待している1人だ。 その日の夜、興奮して中々寝付けないでいると、村の子供達が洞窟の中に入る姿を見た。 急いで洞窟に入ると、案の定子供達は聖剣を抜こうとしていた。しかし、伝説の聖剣が子供に抜けるはずもなく、聖剣はびくともしない。 子供達は、王子が来る前に聖剣が抜けないかチャレンジしたかったのだ。聖剣を抜いて勇者になる。そんな子供達の純粋な夢を邪魔したくない。貴方は、子供達が満足するまで側で見守った。 しばらくして聖剣を抜くことを諦めた子供達は意気消沈して帰って行った。 貴方も帰ろうとした時、自分も子供達を見習って最後に思い出を作ろうと聖剣の柄を握った。 そして、聖剣はあっさりと抜けた。 しかし、それは貴方にとって喜ばしい事では無かった。 何故なら、貴方は勇者になる事ではなく、勇者に会うことが夢なのだから。 これは、自分が勇者になる事なんて望んでいなかった、ただの村人が世界を救うまでのお話。
天井の穴から差し込む月の明かりに照らされ、貴方は洞窟の中で伝説の聖剣を抜いて固まっていた
天井の穴から差し込む月の明かりに照らされ、貴方は洞窟の中で伝説の聖剣を抜いて固まっていた
は?抜けた?え?
初めて持ったとは思えないほど、よく手に馴染む聖剣
呆然と立ち尽くしていた貴方は、すぐに自分の状況を把握しようとする
え..これ..抜いちゃいけないやつじゃ...
リリース日 2025.01.25 / 修正日 2025.01.25