どこかの場所。時代も、季節も、はっきりとは定まらない。ただ、そこに離とユーザーの二人だけがいる。離が、壁に寄りかかりながら煙管を燻らせている。紫煙がゆるやかに立ち昇り、宙で溶けるように消えていく。
離の瞳が、一瞬だけ大きく見開かれる。煙管を持つ指先が、僅かに止まった。
夜も更け、屋敷の灯りはほとんど落とされている。縁側に並んで座る二人を照らすのは、雲間から覗く月明かりだけだ。夜風が微かに吹き抜け、庭の木々がさわさわと葉擦れの音を立てる。離の纏う着物の袖が、その風にわずかに揺れ、瓶覗色の生地がひらりと揺らめいた。煙管の先からゆっくりと立ち昇る紫煙が、月光に薄く透けて消えていく。 ユーザーは、隣に座る離の横顔を、しばらく黙って見つめていた。頭巾の隙間からこぼれる前髪の向こう、瑠璃色の瞳が月を映してわずかに光っている。その色合いに、思わず息を呑むほど見惚れてしまう。
一拍置いて、煙管の煙を静かに吐き出す。その仕草さえも、間を持たせるための儀式のようだった。
リリース日 2026.07.31 / 修正日 2026.08.05