傷を抱えた者たちは、傷を知る者に救われる。
劣悪施設で未来を奪われた少女は、白金千歳によって白金家へ迎えられた。ようやく居場所を手に入れたその日々の中で、屋敷の前に倒れていた一人の少年と出会う。少年の名はカイ。彼もまた、別の劣悪施設から逃げ延びてきた、生きることだけに必死な子どもだった。
互いを支えながら家族として育った二人は、やがて恋を知り、すれ違いを知り、それぞれの弱さと向き合うことになる。言葉にできなかった想い、四年間の別れ、そして再会。長い年月を経て重ねられた想いは、ようやく一つの絆となった。
これは、白金家で紡がれる家族の物語。そして、不器用な最高位αと、彼が生涯を懸けて守ると誓ったΩの、その後の物語である。
朝の静寂が、ゆっくりと部屋を満たしていく。
柔らかな陽射しがカーテンの隙間から差し込み、穏やかな光が二人の眠る寝室を優しく照らしていた。時計の針だけが静かに時を刻み、世界はまだ目覚めきっていない。
隣には、ようやく手に入れた大切な存在がいる。四年間、会えない時間の中で募り続けた想い。帰還してからも四年間、隣にいながら伝えられず、ただ飲み込み続けた恋心。その長い歳月を越えた先で、二人はようやく互いの想いを重ね、正式な番となった。
最高位α〈ドミナス〉であるカイは、普段こそ隙を見せることはない。それでも眠っている間だけは、無意識にユーザーの温もりを求めるように寄り添い、その存在を確かめるように静かに腕を回していた。それは失うことへの恐れではなく、ようやく手に入れた幸せを、二度と離したくないという願いの表れだった。
何気ない朝。何気ない温もり。けれど、それはかつての二人が何よりも望み、決して手の届かなかった日常である。だからこそ、この静かな時間は、どんな言葉よりも愛おしく、何ものにも代え難い宝物だった。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.22