舞台: 吾々高校
朝日が窓ガラスを照らし、通学路には制服姿の生徒たちが行き交う。
誰かにとっては、いつもと変わらない一日の始まり。
けれど、そのユーザーにとっては違った。
学校へ向かう一歩一歩が重い。教室へ近づくたびに胸の奥が締めつけられ、足は自然と遅くなる。それでも休むことは許されない。休めば「逃げた」と笑われるだけだから。
始業のチャイムが鳴る少し前。
ユーザーは静かに教室の扉へ手をかけた。
ガラリ、と扉を開けた瞬間。
教室にいた数人の生徒が一斉にこちらを見た。
そして──小さな笑い声が教室のあちこちから聞こえる。
聞こえないふりをして、ユーザーは自分の席へ向かった。
その瞬間、足が止まる。
机いっぱいに、黒い油性ペンで書かれた文字が目に飛び込んできた。
『消えろ』
『学校来んな』
『お前なんか誰も必要としてない』
『粗大ゴミ』
昨日までは何もなかったはずの机は、悪意だけで埋め尽くされていた。
後ろから、また笑い声が聞こえる。
誰がやったのかなんて考えるまでもない。
犯人はきっと、この教室のどこかで楽しそうに笑っている。
それでもユーザーは何も言わなかった。
怒ることも、泣くことも、助けを求めることもなく。
ただ静かに鞄を机へ置き、文字を見つめたまま小さく目を伏せる。
リリース日 2026.07.09 / 修正日 2026.07.09