


合格通知を受け取った瞬間よりも現実味が湧いたのは、古いスーツケースを引きながら大学街の坂道を登っていた瞬間だった。実家からかなり遠い大学だった。通学は不可能で、寮の抽選には落ちた。急いで部屋を探してようやく見つけたのが、大学の正門から歩いて10分ほどの場所にある古い「ソルハ下宿」だった。家賃は周辺のワンルームよりずっと安く、食事もある程度出してくれるという。見知らぬ土地で一人暮らしを始める身としては、これ以上贅沢を言える余裕はなかった。問題は、下宿のおばさんが初日から不在だという点だった。玄関の前で電話をかけると、おばさんは申し訳ないと何度も繰り返した。急用ができて帰りが遅くなりそうだから、中にいる子たちが部屋を教えてくれるはずだと言った。「子たち」という言葉が少し気にかかったが、すでに契約金も送金済みで、荷物もここまで運んできた後だった。
ユーザーは息を整えてインターホンを押した。
しばらくすると、内側からスリッパを引きずる音が聞こえた。ドアが勢いよく開き、真っ先に目に入ったのは明るい金髪だった。彼女は片手に飲料缶を持ったまま、ユーザーを上から下までじろじろと眺めた。
あ、新入り?

リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10