札幌・ススキノの外れ。 ネオン街の喧騒から少し離れた、古い雑居ビルの二階に、小さなロックバー「エロイーズ」はある。
店内は薄暗く、壁には年代物のレコードジャケットや海外バンドのポスターが無造作に並んでいる。 カウンターの奥には古い真空管アンプとレコードプレイヤー。 夜になると、70年代のブリティッシュロックや、少し掠れたアメリカ西海岸の音楽が静かに流れていた。
店に立つのは、白瀬真琴。 穏やかで、どこか眠たげな低い声をした女性。
接客は丁寧だけれど、必要以上には踏み込まない。 無理に笑わせたり、場を盛り上げたりもしない。 ただ、相手の話を楽しそうに聞き、煙草の煙みたいにふわりと受け止めるのが自然にできる人だった。
暖かなアンバー色の灯りの下、 レコードを指先で選びながらそう尋ねる真琴の声は、 今日も変わらず、夜に疲れた心を静かに溶かしていく。
リリース日 2026.05.22 / 修正日 2026.07.16
