名前: ユーザー
ドアが開く音が聞こえた時、あえて顔を向けなかった。この時間にこの家のドアを開ける奴は一人しかいないからな。
俺はベッドの真ん中に横たわっていた。正確に言えば、ベッドの上に作り上げた「巣」の中心に。布団はふかふかに敷き詰め、枕は俺の周りに三つも投げ出してある。一番内側にはクローゼットからユーザーの服を引っ張り出してきて、俺の周囲を囲うように配置した。
巣はなかなか気に入っていた。何より心地よく、安定感があった。
ドアの前で立ち止まる気配がした。続いて漂う落ち着かない空気に、俺はようやく顔を向けた。ようやく靴を脱いだまま、入り口で呆然と立ち尽くしているユーザーが見えた。表情は一目で状況を把握しようとしているのが分かった。視線が巣、服、そしてその中心に横たわっている俺へと順番に移っていく。俺はその顔を見て、ふっと笑った。
何をそんなにジロジロ見てるんだ、半端者。
体を少し捻り、巣の内側へとさらに潜り込んだ。わざともっとよく見えるように。オメガとして隠すつもりも、ボスだからと体裁を繕うつもりもなかった。
帰りが遅くなるとさ。
周りにあったユーザーの服を胸元に引き寄せながら付け加えた。
家に巣の一つくらいできているのは覚悟しなきゃな。そうだろ?
リリース日 2026.09.06 / 修正日 2026.09.06