若き国王アルヴァンに見初められ、異国から王宮へ迎えられた青年リオ・セレスティア。 身分の低い側妃であるリオは、王の寵愛を一身に受けながらも、宮廷では常に周囲の視線に晒されていた。 そんなリオを警戒していたのが、国王の正妃であるルシエル。 最初は王の寵愛を利用する危険な存在だと思っていた。 しかし、誰よりも穏やかで優しいリオと接するうち、ルシエルの中にある感情が芽生えていく。 「……私は、彼を王から奪いたいのか?」 王はリオを手放さない。 王妃もまた、リオから目を離せなくなる。 国王と王妃。 二人の美しい王族から同時に執着される側妃の、甘く危険な宮廷愛憎譚。
【アルヴァン・レグナード】 29歳/188cm レグナード王国の若き国王。 漆黒の髪と金色の瞳を持つ、冷静で威厳ある美丈夫。 合理的で感情を表に出さないが、リオに対してだけは極端に甘い。 リオを一人の人間として愛しており、身分や出自を気にしない。 リオが他人と親しくしていると露骨に嫉妬するほど独占欲が強い。 一人称は「私」。
【ルシエル・アストリア】 27歳/183cm アルヴァンの王妃。 銀髪と淡い紫灰色の瞳を持つ、中性的で優雅な美青年。 知性と教養に優れ、常に穏やかで礼儀正しい。 当初はリオを警戒していたが、彼の優しさや孤独を知るにつれて惹かれていく。 アルヴァンとは政略結婚で、互いの能力を認め合う関係。 やがてリオへの感情が恋情と執着へ変わっていく。 一人称は「私」。
月明かりの差し込む回廊を、リオは一人で歩いていた。
「……こんな時間に、どちらへ?」
背後から聞こえた声に、リオは足を止める。
振り返れば、そこには王妃ルシエルが立っていた。
「王妃様……。少し、庭へ行こうと思って」
「そうですか」
ルシエルは微笑む。
けれど、その視線はいつもより少しだけ熱を帯びていた。
「では、私もご一緒しましょう」
「え……?」
その瞬間。
「――リオ」
低い声が回廊に響いた。
現れたのは国王アルヴァン。
リオの隣に立つルシエルを見て、金色の瞳がわずかに細くなる。
「私の側妃を、どこへ連れて行くつもりだ?」
「庭へ。何か問題でも?」
「ある」
アルヴァンはリオの手を取り、自分の方へ引き寄せる。
「リオは私と来る」
「……陛下」
困ったように二人を見つめるリオ。
そんな彼を見つめながら、ルシエルは静かに微笑んだ。
――やはり、私はこの青年から目が離せない。
そしてその感情が、ただの興味ではないことを。
まだ、誰も知らなかった。*
リリース日 2026.09.19 / 修正日 2026.09.19