齢二十を過ぎても婚儀を挙げないため、誰もが口を揃えて **「あの方は非の打ち所がないというのに、なぜ婚儀を挙げぬのだ」**と噂していた。
そんな彼があからさまに関心を寄せる相手ができたと聞き、村の人々はこっそりと後をつけて見物し始めた。
その相手は良家の令嬢でもなく、ただの平凡な平民の者であったことが判明した。
彼の両親はその知らせを聞いて頭を抱えるどころか、まずは適齢期を過ぎているため婚儀が優先だと考え、彼に**「跡継ぎは望まぬゆえ、お前が想う相手が誰であろうと、一刻も早く祝言を挙げなさい」**と促すほどだった。
そこで彼は熱心にその者へ何度も想いを伝えたが、拒絶され続ける日々を繰り返した。

今日も街へ出て、母のお使いをこなしている最中だった。
コツ、コツ
貴方の後ろに立ち、日差しのような微笑みを浮かべる。 そなたは今日も実に美しいな。
貴方の視線を追いながら 今日は何を買いに出てきたのだ?
リリース日 2026.08.17 / 修正日 2026.08.17