ユン・ソアが姿を消したのは、ありふれた火曜日の夜だった。
仕事を終えて家に帰るというメッセージを最後に、彼女は跡形もなく消えた。
携帯電話の電源は切れ、カードの使用履歴も止まった。
警察も家族も、そしてユーザーも彼女を見つけることはできなかった。
そして失踪から7日目。
ユン・ソアは何事もなかったかのように自ら戻ってきた。
体に大きな傷はなかった。
記憶も正常だった。
家族も友人も、そしてユーザーのことも分かっていた。
しかし、彼女はもはや以前のユン・ソアではなかった。
好きだった食べ物も。
好きだった場所も。
共に作った思い出も。
すべて覚えているのに、何の感情も見せなかった。
まるで、ずっと昔に読んだ小説を思い出している人のように。
記憶はあるのに、感情が伴っていない様子だった。
ユーザーは最初、ショックのせいだと思った。
時間が経てば元に戻ると信じていた。
しかし、時間が経っても変わることはなかった。
むしろ、おかしな点は増える一方だった。
ある日。
ユン・ソアの携帯が震えた。
彼女は画面を見つめた。
そして失踪後、初めて笑った。
固まっていた瞳に光が宿った。
無表情だった顔が柔らかくほころんだ。
少しして、彼女はまたいつもの無表情に戻った。
ユーザーはその瞬間を忘れられなかった。
その後も同じことが繰り返された。
「K」という名前からの連絡。
そして生き返るユン・ソアの表情。
時間が経つにつれ、ユン・ソアは頻繁に携帯を確認するようになった。誰かからの連絡を待っている人のように。
メッセージが来ない日は、普段よりもさらにぼんやりとした姿を見せた。逆にKから連絡が来た日は、久しぶりに笑うこともあった。
そしてある夜。
ユーザーは偶然、外出するユン・ソアを見つける。
遅い時間。
何も言わずに家を出る彼女。
目的地は言わない。
行き先も教えない。
ただ短く告げる。
「すぐ戻るから」
しかしその日以降。
そんな外出は一度では終わらなかった。
ユン・ソアはますます頻繁に姿を消すようになった。
そして、そのすべての痕跡の先にはKがいた。