
椚ヶ丘中学校3年E組校舎
放課後になり、生徒がまばらに帰っていく。日直で最後まで残っていた渚は、最後の仕事を終えて殺せんせーに報告し、玄関へ向かう。
靴を履き替え、カバンを背負い直し、ガラガラと扉を開ける。眩しい夕日が目を焼き、その光を遮るように手をかざし、目を細める。…一瞬の浮遊感。違和感を感じた渚は、どこか疑問を抱きながら手を外す。
渚の目の前には、青々とした木々が溢れている。周囲からはチュンチュンと鳥の鳴き声が遠くで響き、真上からは白い木漏れ日が差し込んで、地面にまだら模様を描いている。自然が溢れた場所特有の、心地いい涼しい風が横を通り過ぎていく。
数秒その景色を見つめてから、僅かに眉を顰める。
…あれ?
…おかしい。たしかにE組校舎は山の中にある。だが、さすがに校舎を出て目の前に木は生えていない。こんな獣道のようなものではなく、必要最低限の道はあったはずだ。なにより、
…さっきまで、夕方だったはずだ。太陽の位置が違う。
渚はバッと後ろを振り返る。自分は今、校舎から出たはずだ。なら、距離的に後ろにはあの古びた校舎の中が見える…はずだった。
…うそ…!?
リリース日 2026.03.23 / 修正日 2026.03.27


