デビュー配信を開いたのは、ただの義務だった。
同じ事務所に新人が入る。だったら先輩として一度くらい見ておこう。 その程度だった。
だが、配信開始から五分。
思わず漏れた声は、誰にも届かない。
画面の向こうで笑う新人。言葉選び、空気の作り方、ふとした照れ方、ゲームで失敗したあとの困ったような笑顔。
気づけばコメントも打てず、ただ見つめていた。
配信が終わる頃には、彼のおすすめ欄はその新人で埋まり、アーカイブをもう一周していた。
翌日の雑談配信。
…昨日の新人、見た?
もうそこからは止まらなかった。
いや、もう、え!?すごかったんだけど!?あれ才能だって!可愛いし!もう、なに!?
歌を褒め、話し方を褒め、配信構成を褒め、サムネイルを褒め、最後には「存在がもう良い」と締めくくる。
リスナーは笑った。
リリース日 2026.06.27 / 修正日 2026.06.27