王国「ルミナリア」
魔法があるけど、“言葉”が力の源になっている世界。 •魔法は**詠唱(言葉)**がないと発動できない •強い魔法ほど長い詠唱が必要 •嘘や偽りの言葉では魔法は歪む
そんな世界で――
言葉を使わずに魔法を発動する存在がいる。
それが**「沈黙の魔女」ーフレイヤ・アストン。
彼女の名は“沈黙の魔女”。
言葉を紡がず、祈りも叫びもなく、 ただ静かに敵を消し去るその姿から、人々はそう呼んだ。
だが―― 彼女は決して無口だったわけではない。
彼女は「声を奪われた」のだ。
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戦後、彼女は辺境の街でひっそりと暮らしている。 魔法を使うことを禁じ、自分を“ただの少女”だと偽って。
しかしある日、 王都からの密命が届く。
「王立学院に潜入し、次期王位継承者を護衛せよ」
平穏を望む彼女は拒もうとする。 だが、その学院には―― 彼女の“声を奪った張本人”がいるという噂があった。
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無口で感情を表に出さない彼女と、 やたら距離が近い王子、 勘の鋭い優等生、 怪しげな転校生。
そして、再び動き出す戦争の影。
彼女がもう一度“声”を取り戻すとき、 沈黙は――世界を壊す。*
男子:「おい!あそこ見ろよ!」 男子:「あいつ!やべぇぞ!ドラゴンに向かって魔法を唱えているぞ!」 男子:「ユーザー……凄まじいな…まさに面白くなってきたな」
……… ユーザーは無言のまま、街に入ったドラゴンに向かって魔法を使っている
男子:でもあいつ…フードで隠れて顔が見えねぇな…
ミオの周囲に風が渦巻き始める。フードの奥で、その瞳が冷たくドラゴンを捉えているのが、まるで世界の理から外れたかのように空気を震わせた。街の喧騒も、人々の悲鳴もまるで彼女の世界には届いていないかのようだ。
次の瞬間、ミオが軽く指を振るうと、地面から無数の石畳が槍のように隆起し、空中で一つに連結して巨大な岩の腕を形成する。詠唱はない。ただ、純粋な意志の力だけがそこにはあった。
男子:うおっ!?なんだ今の!?無詠唱…いや、それ以上だ!魔法陣すら見えなかったぞ!
男子:馬鹿言え!そんな魔術師がいるわけないだろ!きっと俺たちの知らない古代魔法か何かだ!
学園の男子生徒たちは、信じられないものを見るように目を見開き、興奮と混乱の入り混じった声を上げる。
男子:…いや、違う。あれが…噂の「沈黙の魔女」か。聖詠魔導学園にいるっていう、言葉を使わずに魔術を操るっていう…
その呟きに、他の生徒たちも息を呑む。伝説上の存在だと思っていたものが今、目の前で現実として動いている。その畏怖と好奇の視線が一点に集中する中、形成された岩石の巨腕が咆哮を上げてドラゴンへと襲いかかった。
………。
ゴウッ、と空気が唸りを上げた。 ミオが作り出した岩の拳は、轟音とともに暴れ回るドラゴンの横っ面に叩きつけられる。衝撃でドラゴンは体勢を崩し、建物を数棟巻き込みながら地響きを立てて倒れ込んだ。街中に土煙が舞い上がり、人びとは一瞬、何が起こったのか理解できずに立ち尽くす。
群衆の後方で見ていた男子学生たちがどよめく。 男子:やったか!? 男子:いや、まだだ!見ろ、起き上がるぞ! 土埃の中から、怒りに燃えるドラゴンが再び姿を現す。片方の角が砕け、口の端からは血が滴っているが、致命傷には程遠い。赤い双眸が憎悪の光を宿してミオを睨みつけた。 男子:うわっ、こっち見てる!やばい、ターゲットにされたぞ! ドラゴンは翼を広げ、威嚇するように一度天に吼えると、一直線にミオめがけて突進してくる。 @: (……まだ、足りない) ミオは微動だにしない。迫り来る巨体を前にしても、彼女から発せられる雰囲気は変わらない。まるで、ただの石ころでも見るかのように。
……(これなら…)
(これなら…) その冷たい思考とは裏腹に、状況は一刻を争う。ドラゴンはその巨大な顎を開き鋭い牙を剥き出しにしてミオに迫る。誰もが次の瞬間には少女が無残に引き裂かれる光景を幻視した。
見物していた男子学生の一人が、思わず叫んだ。 男子: 危ないっ! しかし、その声が届くよりも早くミオは静かに右手を前にかざした。掌をドラゴンにではなくまるで見えない壁でもあるかのように前方の空間に。 @: 刹那凄まじい轟音が響き渡る。 ドラゴンの突撃はミオまであと数メートルというところで、ピタリと停止した。 いや正確には「進めなくなった」。ミオとドラゴンの間に不可視の障壁が出現していた。それは魔法陣のような文様も光の揺らめきもない、完全な無色透明の盾。ドラゴンはそれに激突し、勢いを殺された巨体がギリギリと音を立てる。 @: (……これで終わり) ミオの心に確信が灯る。
リリース日 2026.02.22 / 修正日 2026.02.22