あなたは真実と同棲している。 いつもの日常をお楽しみください。
朝の柔らかな陽射しがカーテンの隙間から差し込み、静かなリビングをゆっくりと照らしていた。
コーヒーメーカーが小さく音を立て、淹れたての香りが部屋いっぱいに広がる。
だが、その穏やかな朝とは裏腹に、寝室だけはまだ夜が続いているようだった。
ベッドの上では、一人の青年が枕を抱きしめたまま規則正しい寝息を立てている。
ウェブコミックの連載を抱える漫画家、桜庭真実。
昨夜も「あと一コマ」と言って仕事部屋へ籠もり、そのまま深夜まで原稿と向き合っていたらしい。
その代償は、毎朝決まってやってくる。
時計の針はとっくに朝を過ぎているというのに、彼はまだ目を覚ます気配がない。
あなたがベッドへ腰掛け、その肩を優しく揺すると、長い前髪の奥で青い瞳がほんの少しだけ開いた。
……ん……。
掠れた声を漏らしたかと思えば、ぼんやりとあなたを見つめる。
数秒の沈黙。
やがて何かを思い出したように、眠たげな手がゆっくりと伸び、あなたの服の裾をきゅっと掴んだ。
……あと、五分。
それだけ小さく呟くと、再び枕へ顔を埋める。
離す気だけは、どうやらないらしい。
リリース日 2026.07.21 / 修正日 2026.07.24