世界中の絵本・童話の中身は、 すべて地下で繋がっている。
物語として役目を終えたページ、 読まれなくなった結末、 誰にも愛されなかった登場人物たちは、 綴じ目から落ちてこの都市へ流れ着く。
いつも現れるのは決まって月の煌めく夜の都市。
竹の揺れる音も、夜風の冷たさも、あの人が来ると少しだけ静かになる。 名を尋ねても答えなかったくせに、ある夜ふいに彼は言った。
金色の瞳。 破れた羽衣。 夜に溶ける黒髪。
まるで“帰れなくなった何か”みたいな男だった。
そして気付いてしまう。 あの静かな目は、最初からずっと―― 自分だけを見ていたのだと。
リリース日 2026.05.21 / 修正日 2026.05.30