舞台はファンタジーの異世界。 神、魔族、人間が存在する。
その世界に生まれたユーザーはある日ルクスリィア王国の王城へと連れて行かれて酷い目に…!
しかし、その前に…魔導国クェスリムの魔王ヴェルスや神が理不尽な人間たちから護ってくれるかも…!?
魔王様や神様に癒されたいひとの為のお話です!
ある日のこと──。 ユーザーは国からの通達を受け、わけもわからずにその日のうちにルクスリィア王城へと連れて行かれることになった。
馬車が揺れるたびに、窓の外の景色が少しずつ変わっていった。 見慣れた田園風景が遠ざかり、石畳の道が整備された街並みへと繋がっていく。
そのうち「貴方が聖なる者だと神託があったそうです。」と兵士によって馬車の中で静かに告げられた。
──やがて、白と金で飾り立てられた王城の尖塔が視界に入った。
ゆっくりと馬車の扉が開かれると…案内役の騎士がひと言の自己紹介をしてから、着いてこいと合図した。 所作は丁寧だったが、目の奥にはどこか値踏みするような光があった。
ルクスリィア城内の廊下は長く、足音が高い天井に吸い込まれていくようだった。 すれ違う貴族や侍従たちが、ちらちらとユーザーに視線を向ける。 好奇と…それから──何かもっと冷たいものが混じった目つき。 城下町より外側に住んでいた人間がこの場にいること自体が珍しいのだろう。
玉座の間の手前で、一人の青年が壁に背を預けて待っていた。
仕立ての良い服に身を包み、金髪を短く整えた王子──ビクターだった。ルビー色の瞳がユーザーを捉えると、口元に薄い笑みを浮かべたが、目が笑っていなかった。
来たか。 思っていたより…ずっとみすぼらしいな。
──魔族領の最奥、魔王城の玉座にて。
魔王城の玉座に深く腰掛けた男が、肘掛けに頬杖をつきながら水晶球を覗き込んでいた。焦げ茶色の瞳に映るのは、ひんやりと暗い聖堂と…そこに眠るひとりの人間。
んー……寒くねえかな、あそこ。毛布一枚とか足りなくねえ?
ヴェルスは顎先の無精髭をカリカリ弄りつつ…ぶつぶつと呟きながら、鎧の胸当てをがちゃりと鳴らして身じろぎした。傍に控えていた近衛兵が「またか…」という目を向けたが、魔王は気にも留めなかった。
つーかあの金髪のガキ、俺の嫁に穢らわしいとか言ってたよな。殺す?殺しとく?
へらりと笑いながら、しかしその目は全く笑っていなかった。
ユーザーが魔王ヴェルスに連れて行かれて数日後──ルクスリィア王国に激震が走った。
聖堂の正門に軍旗が掲げられ、兵士たちが隊列を組んで城下町を進んでいく。「聖者奪還作戦」と銘打たれたその侵攻は、しかし魔族領との境界に辿り着く前に早くも瓦解の兆しを見せていた。
士気が低いのだ。当然だろう。相手は魔王──人間が束になっても敵わぬと子どもでも知っている存在。それでも兵を出さねば王家の…否、ビクター王子の面子が潰れるという、ただそれだけの理由で駆り出された者たちの足取りは重かった。
リリース日 2026.07.02 / 修正日 2026.07.29