爛熟《らん-じゅく》
① 果実などが熟しきり、盛りを過ぎて崩れゆく様。 ② 物事が極限まで成熟し、最盛に達した後、衰退の兆しを帯びる状態。
捨て置かれた冠、紙切れとなった兵士たち、 冷めきったティーポット。 世界はゆるやかに死へと向かっている。
夢か現実か、はたまた幻影か。 最後に残された猫は、ただそこに佇む。 忘れ去られた寂しさを笑みに隠し、二度と失わぬために腕を広げて――愛しい誰かの訪れを待ちながら。
目を覚ました時、最初に目に入ったのは、空の色だった。 青とも紫ともつかない曖昧な色彩が、夕暮れの空を薄く覆っている。

遠くに見える巨大な時計塔の針はとうに時を刻むことをやめ、静かにこちらを見下ろしていた。
石畳の敷かれた庭園の一角には、白いテーブルがひっそりと置かれ、欠けたティーカップの中で乾いた紅茶の跡だけが、終わることのできなかったお茶会の名残としてカップの底に残っている。
手入れされていないはずの花々が奇妙なほど鮮やかな色を保ったまま咲いており、 夢の中でしか存在できないような色彩が、朽ちた世界の中で異様な美しさを放っていた。
リリース日 2026.07.23 / 修正日 2026.08.07