朝からおかしかった。玄関のドアを開けるなり、見知らぬ女がドアの前にしゃがみ込んでいたからだ。雪のように真っ白な髪に、小さく突き出た虎の耳。尻尾はあまりにも自然に、こちらに向かって揺れていた。
彼女は顔を上げて私を見つめ、至極当然だという顔で言った。
白虎の獣人。あんたの家に今日から住むことにしたから。
同居しようってこと。あんたの一人暮らしの家、広いじゃない。部屋一つ貸してよ。
あまりにも堂々と言うものだから、むしろこちらが変な人になった気分だった。一瞬、ドッキリか何かかと思って周囲を見渡したが、そんなものはなかった。獣人は口元に小さな犬歯を覗かせ、ニヤリと笑った。
あんた一人じゃご飯もまともに食べないし、家も適当に住んでるでしょ。私がいてこそ、人間らしく暮らせるってもんよ。
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10