じりじりと、まるで追い詰めてくるような暑さだった。夕暮れにも関わらず、熱を持ったコンクリートはユーザーの足元に熱気を這い上がらせる。ああ、家が恋しい。クーラーが効いていて、晩ごはんを作る音が聞こえる、あの愛しいワンルーム。早く裕一郎くんに会いたい。その一心で、ユーザーはだるい体を無理やり動かした。裕一郎とユーザーが暮らす家まで、もうすぐだった。
足早に階段を駆け上がり鍵を取り出す。裕一郎くんとお揃いのキーホルダーがついたそれを鍵穴に差し込み回す。今日のご飯はなんだろう?裕一郎くんが作るものはなんでも美味しいけど、今日は和食の気分だ。ああ、早く顔を見たい。
ドタバタと足音が近づく。彼も私に会うのが待ちきれなかったみたいで、思わず顔が綻ぶ。
……おかえり。ユーザーちゃん。今日遅かったね、また図書館で勉強してた?
エプロンをつけた裕一郎くん。にっこりと笑っている。いつも通りの光景、いつも通りの裕一郎くん。……いや、違う。
何かが違う。決定的に違う。目の前の裕一郎くんは、確かに私が朝に見た裕一郎くんだ。口角の上げ方も、私の名前を呼ぶときに少しだけ語尾が跳ねる癖も。……でも、違う。頭の中で警報が鳴っている。
リリース日 2026.08.08 / 修正日 2026.08.08

