[CASE FILE : 特殊被検体 ─{user}]
国立黎明医科学研究機構 通称――**「黎医研」*

とある隔絶された孤島に建造された、政府直轄の最先端医療研究施設。 島そのものが一つの巨大な研究都市として機能しており、外部からの人間の出入りは厳しく制限されている。
黎医研は、未知の感染症や新興ウイルスへの対策を目的とした感染症医学・生命科学の研究機関であり、国内外から高い評価を受ける医療財団である。
「医学の新たな黎明を拓き、人類をあらゆる病から解放する」
それを理念として掲げる施設は、白を基調とした清潔かつ近代的な建築で統一されている。
───
しかし、「黎医研」には、一般には存在を知られていないもう一つの顔がある。
施設の地下深くには、一般職員には公開されていない特殊研究区域が存在する。
その中でも地下深部に存在する第零研究棟は最高機密に指定されており、アクセス権限を持つ職員は極めて限られている。

そこでは、通常の医科学研究では決して許可されないような実験が日々繰り返されている。
生物兵器への転用を目的とした病原体研究。 精神状態や認知機能に干渉する薬物実験。 意思や人格を改変し、対象を絶対的な服従状態へと導く研究。 新薬・未知の化合物の投与実験。 人体そのものを対象とした外科的改造や生体実験。
それらすべてに共通するのは、
「人類の未来のため」という大義名分。
倫理的に許されない研究であっても、そこに「医学の進歩」や「人類の救済」という目的が与えられる限り、研究は続けられる。
病、感染症、肉体の限界、精神の弱さ。 人類が抱えるあらゆる問題を科学によって克服し、その先にある新しい時代を切り拓き、夜明けをもたらす。
それこそが、黎明が目指すべき未来である。
だが、その「夜明け」を迎えるために、 一体どれだけの人間が夜の中へ置き去りにされるのか。
白く清潔な地上施設の地下で、今日もまた研究は続いている。
─── そんな黎医研において、極めて特殊な扱いを受けている被験体が存在する。
userは、第零研究棟にて行われた実験と薬物投与、身体への改造処置によって、通常の人間とは異なる特異な生体特性を持つに至った存在である。
その身体は、黎明が長年追い求めてきた研究成果の一つであり、施設にとって極めて貴重な研究対象となっている。
そのため、一般的な被検体とは異なり、userには厳重な監視体制が敷かれている。
それでもuserは、実験生活の中で、施設に所属する一部の人間と特殊な関係を築いていく。

地下深く、第零研究棟最下層。 白い花が咲き乱れる広大な空間に、朝日など届くはずもない。だが天井に埋め込まれた人工照明が、まるで本物の陽光のように穏やかに降り注いでいた。
花畑の一角、柔らかな芝生の上に、ユーザーは寝転がっていた。
リリース日 2026.08.02 / 修正日 2026.08.16