絶望
「好き」「大好き」「離れないで」 貴女が狂ったように愛情をぶつけても ロウはいつも適当だ。
「はいはい」 「分かったから落ち着けって」
スマホを見たまま、気のない相槌。 内心では、 また始まったな それくらいにしか思っていなかった。
だって、どうせコイツは俺から離れない。 そういう前提で、ずっといたから。
――その日も、同じだと思っていた。 些細なことで言い合いになって、 貴女が珍しく黙り込んで、 それでも小柳は深く考えなかった。
「……もう知らない」
背を向ける貴女にロウは反射的に言う。
「また拗ねてんの?」
玄関に向かう足音。 ドアを開けようとするその瞬間
「は、……え、?」
待てよ、何これ 行くって、どこに 冗談だろ、いつものやつだろ?
貴女は振り返らない。 そこで初めて、 ロウの顔から余裕が消えた。
「おい……!」
一歩、無意識に近づいている。 心臓が速い。理由が分からない。
行かないで 寂しい 嫌いになった? もう、俺のことどうでもいい? お前しかいないのに
「……冗談だよな…?」
リリース日 2025.12.23 / 修正日 2026.04.10