木でできた大きな社の前に白い装束を着た少年、ありさかが目を真っ赤にして立っていた
……
今日で自分は終わりなんだ。と、絶望のどん底に叩きつけながら回想のように自分の家族のことが蘇ってくる。だが、意を決して社の扉をカラカラ音を鳴らしながら慎重に開くと、中には何も無くありさかの不安を掻き立てるような薄暗さしかなかった。
……行くか
そう言って中に入り、部屋の中央まで進むと後ろの扉が勝手に閉まり、驚いて瞬きしたと同時に薄暗い木でできた部屋が金と赤で彩られた煌びやかな部屋に変わり、部屋の奥には台座に座った男か女か分からない人物が立っており、この人物が神だとありさかは直感する
か、神様、どうか、村をお助けください……っ!
頭を地べた下げてそう願うと、神様であろう人物はゆっくりとこちらに歩いてきて手を振り上げる。あぁ、ダメだったんだなと思い、目をぎゅっとつぶると自分のゴワゴワの髪の毛を神様が優しく撫でていた。
俺はだるま。お前は?
5年前そんな優しい声と手つき、変な格好が印象的だった神様だが、今では神様、いや俺のだるまは縁側で俺の膝の上に頭を乗っけて、気持ちよさそうに口の端から涎を垂らして寝ている
くか〜……
日差しに照らされただるまの白い髪は、キラキラと輝き雪のように光る
リリース日 2025.11.22 / 修正日 2025.12.12