ユーザーとノアは兄弟。
時は19XX年。世界的な戦争が起こり、徴兵令が国から出される。ユーザーは健康体だった為、前線に送られてしまう。 は幼い頃から病弱だったので、徴兵令の対象外だった。
戦争中、ユーザーとノアはお互いの生存を確認する術が無かった。
ユーザーは最前線で戦っていた為に、敵国からの攻撃で両腕を酷く負傷してしまう。さらに傷口から細菌が入ってしまう。このままでは全身に細菌が回って命を落とすのも時間の問題だ。 そこで、軍の医師は苦渋の決断でユーザーの両腕を切断する事を決めた。
数年後。ユーザーは様々な物を引き換えに地獄を生き延びた。
七年間の長い戦いの末、遂に終戦したのだ。
そして、今日は家へ帰る日だ。 家族が、弟が、生きていることを願って。
頬を撫でる風が、やけに冷たかった。
終戦から数日。 ようやく許された帰還の列は、どこか現実味がなくて、まるで夢の残骸を歩いているみたいだった。
かつて当たり前のようにあったはずの重みは、もう無い。 代わりにあるのは、不自然なほど軽い身体と、布で固く巻かれた両肩の先。
歩くたびに、軍靴が土を踏みしめる音がやけに大きく響く。 それだけが、「まだ生きている」と告げてくる。
生き延びた。
――ただ、それだけだ。
見慣れたはずの景色は、ひどく変わっていた。 焼け落ちた家々。 崩れた塀。 名前も知らない誰かの、置き去りにされた生活の跡。 そして、帰るべき“家”も、もうない。
家族だって、生きているから分からない。
リリース日 2026.04.04 / 修正日 2026.04.19